業務の問題点を可視化 UiPath Process Miningを調べてみた

目次

はじめに

どんなサービス?うちの悩みの解決になる?etc…と、聞かれることが増えたので、UiPath Process Miningの強みやおおまかな使い方についてまとめた。

一言でいえば「ダッシュボードツール」

UiPath Process Miningとは、一言でいえば「業務システムのログデータを可視化するダッシュボードツール」である。この機能により、従来はシステムから数万件以上のデータを取得し、データアナリスト等のデータのプロが時間をかけて収集、加工、可視化、分析していたところを自動化し、誰にでもデータドリブンな業務改善ができるようにしている。

出典:https://docs.uipath.com/ja/process-mining/automation-cloud/latest/user-guide/working-with-dashboards-and-charts
出典:Process Mining – ダッシュボードとグラフを使用する

そもそも「プロセスマイニング」とは

プロセスマイニングとは、現行の情報システムから容易に活用できるイベントログを基に知識を抽出することで、実際のプロセス(あなたが思い込んでいるプロセスではなく)を発掘し、モニタリングし、改善するための分析手法です。

出典:プロセスマイニングとは?| Celonis Japan (セロニス)

つまり、業務システム内での操作やイベントの内容(いつ、誰が、誰に、何を etc.)を含んだログデータを分析することで、客観的事実に基づいて課題を発見、解決策を立てる業務改善方法のこと。

特徴

UiPath製品群の中での位置づけ


UiPathは数ある製品を「発見(Discorver)」「自動化(Automate)」「運用(Operate)」の3つに分類している。そのうち、Process Miningは「発見(Discorver)」に該当する。Process Miningがシステムを通した業務全体の動きを可視化し課題を発見するのに役立つ一方で、各従業員レベルの作業を可視化するためはTask MiningとTask Captureという製品が用意されている。

スクロールできます

発見(Discorver)

  • Process Mining
  • Task Mining
  • Task Capture
  • Automation Hub

自動化(Automate)

  • Studio/StudioX/StudioWeb
  • Apps
  • Integration Service
  • Assistant
  • Robots
  • Action Center
  • Data Service
  • Document Understanding
  • AI Center

運用(Operate)

  • Insights
  • Test Suite
  • Orchestrator
  • Automation Ops
  • Automation Cloud
  • Automation Suite

強みは3つ

業務改善の糸口を発見する

業務システムのログを可視化することで、業務プロセス上の問題を発見し、改善の糸口をつかむことができる。

UiPath Process Miningで業務改善の糸口を発見する
「請求書の処理」に業務改善の課題がありそうだとわかる

業務改善効果の測定

業務改善された前後比較によって効果を数値で把握できる。また、各業務の自動化率(業務がUiPath Robotにより自動化されている割合)が算出されるため、改善の優先順位をつけるのに役立つ。

UiPath Process Miningで業務改善効果の測定
「請求書の処理」の80%が自動化され、「承認」までの工数が1.5日に削減されたことが把握できる

業務プロセスの継続的な監視

継続的な監視によって、ルール違反や非効率的なプロセスに戻ってしまう等の問題を未然に防ぐことができる。

UiPath Process Miningで業務の継続的な監視
大きなトラブルになる前に問題のあるフローを検知できる

どんな業務に使えるのか?

システムを介して実行される業務プロセスならどんな分野の業務でも使用することができる。

Process Miningが生かせる業務範囲の一例

  • 経理(例:売掛金・買掛金の業務)
  • 購買・調達(例:請求と支払管理)
  • 営業(例:見積書作成)
  • 製造管理(例:生産計画管理)
  • 情報システム(例:インシデント管理)
  • 人事(例:採用管理)

事例はRPA & Automation Case Studies | UiPathを参照。

対応するシステム

公式にコネクタが用意されているシステムを一部抜粋(詳細は引用を参照)。

  • SAP
  • Salesforce
  • Oracle JDE
  • Microsoft Dynamics 365
  • MySQL、PostgreSQL等の各種データベース

CData Sync は、ソース システムから Process Mining にデータを抽出するために使用するツールです。サポート対象のソース システムは、CData Sync の Web サイトの 「Sources」ページで確認できます。

出典:Process Mining – CData Sync を使用してデータを読み込む

コネクタがない場合でもcsvやtsv読み込みが可能のため、タイムスタンプを含んだシステムのログデータを出力できれば利用可能。

サンプル データセットを使用したり、.tsv または .csv ファイルを使用してデータセットをアップロードしたり、抽出器を使用してデータを読み込んだりできます。詳しくは、「データ ソースを選択する」をご覧ください。

出典:Process Mining – データをアップロードする

対応するデータ形式


前述の通り、一部システムにはコネクタ(CData Sync)が用意されている。それ以外のシステムのデータでもファイルでの読み込みに対応しているので、Process Miningのデータスキーマに合わせて加工すれば利用可能。データスキーマは後述のアプリテンプレートによって異なる。

Process Miningのデータスキーマの一例
データスキーマの一例

利用可能なファイル形式

システムやデータが対応していたとしても、使用するデータの質や量によっては期待した動作とならない可能性もあるため、購入する前にトライアルでの検証を推奨する。

利用の流れ

導入してからの利用の流れを説明する。トライアルや導入にはUiPathか公式パートナーへ問い合わせる必要がある。

STEP
データ読込

読込方法は下記の4種類がある。ほとんどの場合はCData Syncを使うことになる。

スクロールできます
CData Sync(デフォルト)Theobald Xtract UniversalDataBridgeAgentDataUploader
各種システムに対応している(詳細

csvやtsv等のデータファイルを読み込むことができる
SAP専用
SAP ECCやSAP HANAに最適化されている
Process Miningをオンプレミスからクラウドへ移行する場合のみ使用するサイズの大きいデータファイルを読み込みたいときの選択肢(最大5TB)

Windows PowerShellを介して操作する
STEP
データ変換

読み込まれたデータはProcess Miningプロセスアプリ(イベントログを可視化するダッシュボードのこと)(以下、アプリ)に準拠したデータスキーマに変換される。この変換だけでデータスキーマに適合しない場合は変換をカスタマイズすることもできる。

データ変換でできること

  • SQLにおけるGROUP BY
  • 新しいフィールド(列)の追加
  • システムイベントの追加する(例: 請求書の品質チェック完了)
  • タグ(システムイベントの属性のようなもの)を追加する(例: SLA の達成に失敗、複数名確認違反)
  • KPI を計算するためのビジネス ロジックを追加する(推測だが、例えば調達業務において承認をスキップして購買に至っていればルール違反とみなす、といったことを指していると思われる)
  • 数式フィールドの追加

変換方法

下記の2パターンがある。どちらの方法でもSQLに精通している必要がある。

ダッシュボードエディターで編集ローカル環境で編集
Process Mining内で完結する非推奨
ローカルにデータ変換の定義ファイルをダウンロードし、Visual Studio Code等のコードエディターで編集する
STEP
アプリで可視化

あらかじめ用意されたアプリテンプレートを使用してすぐに可視化することができる。SalesforceやOracle等システム固有のアプリテンプレートも用意されている。また、分析対象となる業務等に合わせてカスタマイズが可能。

アプリの詳細な作成方法はProcess Mining – 新しいアプリを作成ウィザード等ユーザーガイドを参照。

アプリテンプレートの例

すべてのテンプレートはProcess Mining – アプリ テンプレートを参照

Purchase-to-Pay アプリ テンプレート

Purchase-to-Pay アプリ テンプレートを使用すると、プロセス オーナー、ビジネス ユーザー、そして RPA チームは購買から支払 (Purchase-to-Pay) プロセスの KPI を監視できるため、自動化候補のプロセスを発見したり、プロセス改善のイニシアチブを加速させたりできます。

出典:Process Mining – Purchase-to-Pay アプリ テンプレート
Order-to-Cash アプリ テンプレート

Order-to-Cash アプリ テンプレートを使用すると、プロセス オーナー、ビジネス ユーザー、そして RPA チームは受注から入金回収 (Order-to-Cash) プロセスの KPI を監視できるため、自動化候補のプロセスを発見したり、プロセス改善のイニシアチブを加速させたりできます。

出典:Process Mining – Order-to-Cash アプリ テンプレート
Salesforce アカウント管理

取引先オブジェクトを管理することができる。

Account Management allows users to centralize all customer data, as well as all key interactions and customer service cases in order to streamline the sales process and give a clearer detail of the relationship with the client.

(すべての顧客データ、主要なやり取り、カスタマーサービスケースを一元管理し、販売プロセスを合理化し、顧客との関係をより明確にすることができます。)

出典:Salesforce-Account-Management.md
STEP
アプリの公開

エンドユーザーがアプリを使えるようにパブリッシュする。

STEP
アプリを使って分析

アプリではシステムログが可視化されKPIが算出されているので、ここから業務をモニタリングし課題の発見につなげることができる。

出典:https://docs.uipath.com/ja/process-mining/automation-cloud/latest/user-guide/working-with-dashboards-and-charts
出典:Process Mining – ダッシュボードとグラフを使用する

FAQ

トライアルはできる?

Community版等のようにWebからの申し込みだけで開始できるものはない。ただし、検証のためにトライアル利用できる可能性はあるので、UiPathへ問い合わせるかライセンスを購入している代理店への相談をおすすめする。

オンプレミスで使える?

利用可能。詳細はProcess Mining ユーザーガイド(Standalone)を参照。

ただし、(Process Miningに限ったことではないが)更新の頻度が高くないためAutomation Cloudと全く同じ機能を使えない可能性がある。

AWSやAzure等のパブリッククラウドで使える?

利用可能。詳細はProcess Mining ユーザーガイド(Automation Suite)を参照。

まとめ

  • Process Miningとはダッシュボードツールである
  • 「業務改善の課題発見」、「効果測定」、「継続的なモニタリング」が強み
  • タイムスタンプを含んだログを取っているシステムなら大体使える
  • データはアプリテンプレートに合わせて加工する必要がある
  • 使えるようにするまではエンジニアがいないと厳しい
  • 実際に導入する場合は事前の検証(自社のシステムに合うか、業務改善につながりそうか等)は必須

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